ベーゼンドルファーピアノセミナーリポート

2000年9月3日(日) 13時より16時
しまりすミュージックホール


〜 テーマ 〜
ベーゼンドルファーの魅力
「ピアノが語る演奏者へのヒント」

講師: 村上 公一 氏 (日本ベーゼンドルファー技術課)


去る9月3日(日)、しまりすミュージックホールに於いてピアノセミナーが開催されました。
当セミナーは、日本ベーゼンドルファーにご協力いただき実現したものです。
講師には、技術課の村上公一氏。
ピアノ演奏法について、楽器の構造から視点をあて、たっぷり3時間、繰り広げられました。


     主な項目
        ピアノの音をどう捉えるか
        音色が織り上げられるプロセス
        メーカーによる音色の違い
        ベーゼンドルファー 特有の音づくり
        ベーゼンドルファーを演奏する際に知っておきたいこと
        鍵盤とその重さについて
        ペダルの活用方法
                                   (そのほか色々)

その他、実験も数多くとり行われました。

【その1】 2台のピアノ 音色聴き比べ

しまりすミュージックホールには
  1.ベーゼンドルファー モデル214型
  2.ヤマハ C3型
(レンナーのハンマー/レスローのワイヤーを使用するなど、内部全体をオーバーホールしたもの)
という、2台のグランドピアノが所有されていますが、その音色は全く異なるものです。
それらはピアノの構造の違いからくるものですが、この2台を同じ人が同じ曲の同じ部分を弾くことにより、音色の聴き比べをしました。


【その2】 ベーゼンドルファーは音が聴く位置で変わる!!

演奏者の聞こえ方と、客席側にいる時の聞こえ方は違うことをピアノの周りをあちこちと歩き回ることで、場所による聞こえ方の違いを体感。

【その3】 オルゴール実験

ベーゼンドルファーは、100年でやっと成長する「スプルース」という名前を持つ木をフル活用して作られたピアノ。ピアノのボディーがどれほど共鳴をするものなのかを知るために、オルゴール実験が行われました。
単品だとほとんど聞こえないようなオルゴールが、ピアノの響板にふれた途端、大音量でビックリ仰天。まるで巨大なオルゴールが現れたように、大きな音に変身し、まるで違う楽器のように生まれ変わったのです。
そこで、なにを知るかということですが、楽器や声にもとても共鳴しやすいことを知り、ベーゼンドルファーが楽器や声の伴奏用に特に好まれる理由を知りました。


それ以外の、注目すべき項目をあげていきます

ピアノがパイプオルガンに!?

倍音を低音から順にペダル入りで奏でていくと、残響がたちまちパイプオルガンの音に変身するのです。ピアノなのに、オルガン・・?? 是非お試し下さい。
(その際は、よく調律されたピアノでお試しを!!)


ピアノは雑音が奏でる楽器!!?

弦がなければ、ただの雑音発信マシンがピアノでした。
ピアノのハンマーは、鍵盤部分をおろした途端に、相当なゴンという音がします。そのゴンと言う音と、弦とのコンビによって、ピアノはピアノらしい音を放つ・・・。つまり、ピアノらしい音色というのは、実はこのハンマーによる雑音から生まれているのでした。


鍵盤はてこの原理で動いている

この原理を応用し、うまく利用することで、音色を様々に変化させることができます。鍵盤の下ろし方を工夫することは、ピアノを奏でる上で、とても大切なことです。

ふたの開け閉めは的確に!!

ピアノのふた(翼の部分)を大きく開いたり、開かなかったり。
これらは、音の大・中・小ではなく、音色の変化の度合いが変わる重要なことだったのです。伴奏だからと言って、ふたを閉めてしまって、せっかくの音色が失われることもあるので要注意。
単に、音が出過ぎるからとふたを閉めたところで、よい効果はないこともあるので、耳でよく確かめて、ふたの開け閉めの度合いは決めましょう。


鍵盤の重い・軽い その一言に要注意!!

鍵盤の重さは、どのピアノもほぼ一緒。音色の明るさ・暗さや、音の立ち上がりの良さ・悪さなど、さまざまな要因で、重いと感じたり、軽いと感じたりするそうです。
ピアノ技術者とのコミュニケーションの際は、重い軽いの一言で済ませず、どういう感じがするかをできるだけ細やかに伝えることが、正確な調整の鍵を握るとのこと。
安易に「鍵盤が軽くて弾きやすすぎるので、重くして下さい」などとは、口が裂けても言わないように!!


ラの音よりも低い音を奏でられるベーゼンドルファー特有のエクステンドキー

ブゾーニが考案して生まれたという低音域のエクステンドキー。ラヴェルやドビュッシーの曲もこの鍵盤をうまく利用することによって、響きをより広げることもできるほど、魅力のあるものです。
参考図書(?):赤川次郎著「インペリアル」


ソフトペダルも使いよう

巧みに使えば、音色をより多彩にすることができます。研究されたし!!


番外編 名言〔迷言〕集

☆ ラヴェルの難曲「夜のガスパール」 どうしても弾けないときには
                本人の技量ではなく、ピアノを疑え!!?

☆ 除湿の効果で、日本製のピアノも2年でヨーロッパの響きになる!!


以上、長くなりましたが、大変有意義な講習会に、17名の参加者も疲れを全く感じることなく聞き入りました。
ピアノの音色をより美しく引き出すためには、なにをするべきか、なにを知るべきか。
それは、この世に存在する音をいかに美しく、心地よく、ともに共感できるようにするかにつながると思います。


ベーゼンドルファーピアノセミナーはご好評につき、また折を見て開催予定です。
どうぞご期待の上、是非、ご参加下さい。

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